貸し手と借り手を取り持つ

「農地バンク」は、農地所有者と借り受け希望者を取り持つ制度であり、その事業を行う農地中間管理機構の別名でもあります。

農地中間管理機構は、都道府県の第3セクターです。全都道府県に2014年度に設置され、農地を貸したい人から借りて、借りたい人に貸付けています。設置の目的は、大規模化に意欲のある農業者(担い手)に農地を集積・集約して、農業経営の効率化をはかることです。集積とは利用する農地を拡大すること、集約は農地の分散状態を解消することです。

農地バンクのイメージ写真

中間管理機構の事業

  • 農地を借り受け
  • 必要に応じて基盤整備
  • 農地をまとまった形で転貸
  • 再配分で集約化

貸し付けは10年以上

貸し付け期間は基本的に10年以上です。賃料は、地区の賃料水準を参考に、貸し手(所有者)と借り手の希望賃料を調整して決めます。賃料は機構が借り手から徴収し、所有者に支払います。借り手側には、賃料以外の費用は発生しません。

貸し手は協力金がもらえる

機構にまとまった農地を貸すと協力金・奨励金がもらえます。協力金には地域に対する「地域集積協力金」と個人に対する「経営転換協力金」などがあります。

地域集積協力金

農地集積が進められた地域において、地域の農地面積うち農地バンクに貸し付けた面積の割合に応じて、地域に対して交付される協力金です。例えばこの割合が、一般地域で70%を超えた場合、10a(1反)あたり2万2000円以上が交付されます。

経営転換協力金

経営転換やリタイアする人、農業経営を行わない相続人が対象になります。22年度・23年度においては、10a(1反)あたり1万円、上限額は1戸25万円になっています。機構に全ての農地を10年以上貸し付けることが要件です。

貸し手には減税の恩恵も

貸し手が負担する固定資産税については、機構へ10年以上の期間で全農地を貸し付けた場合は、3年から5年間、半額に軽減されます。

協力金や減税の詳しい要件などは各都道府県の機構までお問い合わせください。

借り手の公募は来春廃止

現在、機構は、農地の借り受けを希望する人を公募しています。しかし、この県単位の公募制はうまく機能せず、22年年5月に成立した農地関連改正法で、23年4月に廃止されることになりました。

今後は市町村が、10年後を想定したと地域計画を立て、どの農業者がどの農地を利用するかを表示した地図(目標地図)を作成します。農業バンクへの貸し付け、借り受けについては、地域計画に応じた働きかけを、農業委員会などが中心となって行います。

奈良の機構は?

奈良の中間管理機構は「なら担い手・農地サポートセンター」(橿原市、0744-21-5020)です。「なら担い手」は、もともと奈良県農業振興公社で、14年に中間管理機構に指定され、「なら担い手・農地サポートセンター」に名称を変更しています。

独自の農地バンクも

機構とは別に、市町村単位で、独自に「農地バンク」を設けているところがあります。一例として、兵庫県猪名川町の農業委員会は、21年4月に「猪名川町農地バンク制度」を始めました。所有者が農地情報を登録すると、ホームページで公開されます。借り受けや購入の希望者の申し出を受けた農業委員会が所有者に連絡、所有者と希望者が金額などの条件を交渉して決める制度です。

関連条文
農地中間管理事業の推進に関する法律18 条
農地中間管理機構は、農地中間管理権を有する農用地等について賃借権又は使用貸借による権利の設定又は移転(以下「賃借権の設定等」という。)を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、農用地利用配分計画を定め、都道府県知事の認可を受けなければならない。

農地中間管理事業の推進に関する法律

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