10年後の耕作者を1筆ずつ示す
目標地図とは、10年後に、だれが、どの農地を耕作しているのかわかるようにした地図です。一筆ずつ色分けしています。令和7年3月末までに市町村が作成する地域計画と一体のものです。
目標地図は地域計画の核心
地方での人口減、農業者の高齢化が進み、耕作放棄地が拡大しています。農業を担っていける人に農地の集約化するには、どうしたらいいのか。その模索の中で出てきたのが地域計画と呼ばれるものです
地域計画では、農地を「効率的かつ総合的」に利用するための目標や必要な措置などを文章で書くものです。地域での農業関係者の協議を踏まえ市町村が策定します。その計画の具体化として、将来の農地の耕作者をビジュアルに提示するのが目標地図です。これは地域計画の核心にあたります。
行政側は、地域で話し合った末につくった目標地図に従って耕作者を割り当てていけば、農地を集積・集約でき、農作業にかかる時間、手間、費用が少なくなり、人口減時代にも日本の農業が持続可能になる、と期待しています。
目標地図の作り方
目標地図は、農業委員会が作った素案を基に市町村が作成します。「素案は地域でつくる」という言い方をしている自治体もあります。
「将来の耕作者」を記入する目標地図の素案は、耕作者を色分けした現況の地図に、農地所有者(貸し手)や認定農業者などの担い手(借り手)の意向を反映させてつくります。意向は、農業委員や農地利用最適化推進委員が、これまでの活動やアンケートなどで把握したものです。
農業委員会サポートシステムを使うと、貸し手・借り手の意向をタブレットに入力することによって、素案がシステム上で作成されます。
素案の提出を受けた市町村は、地域の農業関係者の協議の場で、素案に従って貸し手と借り手の調整を行い、目標地図を策定していきます。
白抜きで「今後検討等」でもOK
令和7年4月のスタート段階では、目標地図は完成形ではありません。調整がつかない農地については、白色にして「今後検討等」と記載してもかまいません。その後、調整がついたら目標地図を更新します。地図は毎年、見直します。
実際に、地域計画が策定された地域の目標地図を見ると、「今後検討等」の白色がかなり目立っています。
貸し手と借り手の調整は簡単ではありません。両者の意向が合わないこと、一つの農地を複数の人が希望することがあります。そもそも、農地を貸したくない所有者もいますし、借り手を見つけようがない農地もあります。
目標地図に所有者の権利が拘束されるの?
目標地図は、地域の10年後のイメージです。地図通りの貸借を義務付けるものではありません。途中で借り手が変わってもかまいませんし、農地転用など財産権に基づく行為を制限するものでもありません。ただし、これらの場合、地域計画の変更手続きが必要になってきます。
関連条文
▽農業経営基盤強化促進法第19条
同意市町村は(中略)農用地の効率的かつ総合的な利用を図るため、当該協議の対象となつた農業上の利用が行われる農用地等の区域における農業経営基盤の強化の促進に関する計画(以下「地域計画」という。)を定めるものとする。
2 略
3 同意市町村は、地域計画においては(中略)農業を担う者ごとに利用する農用地等を定め、これを地図に表示するものとする。
農地転用、農地の相続、農地の売買・貸借のことなら奈良県橿原市の行政書士中園事務所にお任せ下さい。<対応地域:奈良県内全域、大阪府・京都府・三重県の一部>
0744-38-9344
月~土 9:00~19:00