市街化調整区域では、どんな施設を作ることができますか
原則、開発行為ができない
市街化調整区域は、都市計画法で定める都市計画区域のひとつです。同法では、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」と定義づけていて、特定の開発行為を除いて、開発許可をしてはいけない、と定めています。
市街化調整区域では、開発行為ができないのが基本であって、可能な開発行為は法令で定められているのです。
したがって、市街化調整区域で作れる施設は①開発行為ではないもの②開発行為だが法令で認められているもの――の二つになります。
都市計画法第7条第3項
「市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする」
同第29条第1項
「都市計画区域(略)において開発行為をしようとする者は(略)都道府県知事(略)の許可を受けなければならない」
同第34条第1項
「市街化調整区域に係る開発行為(略)については(略)次の各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない」
①開発行為でないから作れる施設
開発行為とは「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更」(同法第4条第12項)です。建築物を作らなければ開発行為にあたりませんし、建築物を作っても区画形質の変更をしなければ開発行為にあたりません。
青空駐車場、青空資材置場、太陽光発電施設などが開発行為にはあたりません。これらは、農地転用の目的になることが多いです。
②開発行為だが法令で容認
(1)29条「許可のいらない開発行為」
都市計画法第29条では、開発許可のいらない開発行為が定められています。
農地転用の関係で重要になってくるのは、第2号の「農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うもの」です。
代表的なものとして農家住宅があり、そのほか、畜舎、温室、農作業舎、集荷施設などが含まれます。
(2)34条「許可してもいい開発行為」
■公益上必要、日常生活に必要
都市計画法第34条では、開発許可をしてもいい開発行為が列挙されています。農地転用の関係では、「公益上必要」「日常生活に必要」な施設は許可できるとした第1号、「市街化区域内では困難」な施設を認める第12号などがポイントです。
同法34条第1号
「主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物又はこれらの者の日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為
「公益上必要」な施設、「日常生活に必要」な施設は、奈良県の場合は、以下のようなものです。
(公益上必要な施設の例)
- 社会福祉法第2条に規定する社会福祉施設
- 介護保険法第8条第14項に規定する施設
- 医療法第1条の5第2項に規定する診療所
- 学校教育法第1条に規定する小学校、中学校又は幼稚園
日常生活に必要な施設の例
- コンビニエンスストア
- 食料品店
- 飲食店
- 理容店
- 洋服店
- クリーニング店
■市街化区域につくれない
同法第34条14号では、市街化区域内の立地が困難な施設の市街化調整区域での建築を認めています。これは開発審査会の議を経ることが条件です。農家の分家住宅などがこれに該当します。
同法第34条14号
前各号に掲げるもののほか、都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為
分家住宅とは、農家の子供や孫が建てる住宅です。条件としては、①同居か以前に同居②分家後に農業をする③農家や子供らが土地を所有している④同一集落か周辺地域――などがあります。
分家住宅以外に、14号にあてはまるものとしては、病院、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、介護老人保健施設、インターチェンジ付近の工場・流通施設、従業員寮などがあります。
■開発行為OKの11号区域
また、第34条第11号では、市街化区域に近く50以上の建築物がつながっている地域で条例指定した区域や用途では、開発行為は認められるとしています。奈良県条例では、既存の集落での住宅立地を認めており、現在、14市町村、70地区が指定されています。
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