奈良県内の市町村には、どのような太陽光発電規制条例がありますか

太陽光発電設備

奈良県内の8市町に太陽光発電規制条例

太陽光発電設備の設置は、平成24年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が開始されて以降、全国に広がっています。これに対して、市町村では、太陽光発電設備を規制するための条例を設けています。地方自治研究機構の調べでは、平成26年1月の大分県由布市を嚆矢に、令和6年6月25日時点で282条例が公布されています。

奈良県内では8市町に条例があります。全国では10番目に多い数です。

奈良県内では宇陀市が最初の条例

奈良県内市町村の太陽光発電規制条例

 公布施行
宇陀市平成29年12月22日平成29年12月22日
御所市令和3年3月22日令和3年6月1日
平群町令和4年3月2日令和4年7月1日
天理市令和4年3月17日令和4年7月1日
高取町令和4年6月17日令和4年6月17日
三郷町令和4年6月20日令和4年7月1日
桜井市令和6年3月27日令和6年10月1日
五條市令和6年3月27日令和6年5月1日

先陣を切ったのは宇陀市で、平成29年12月に「宇陀市生活環境と太陽光発電設備設置事業との調和に関する条例」を施行しています。

事前協議と届出を求める

宇陀市の条例では、太陽光発電の事業区域の面積が500㎡以上などの場合は、宇陀市との事前協議、近隣関係者等への説明、事業着手の届出が必要です。

手続きの流れとしては、①工事着手の届出書の提出の1か月前までに事前協議書や図面などを提出②工事着手の60日前までに事業届出書や近隣関係者説明書などを提出③工事着手時に事業着手届出書と事前協議終了通知書の写しを提出④工事完了時に報告書と写真を提出――と4段階になっています。①には1か月弱②には1か月強の時間がかかります。

宇陀市の指導に従わない場合は、事業主に適切な措置を講じるように勧告し、その事実を公表します。

事前協議書提出

事業届出書提出

事業着手届出書提出

報告書提出

令和4年に条例施行が急増

宇陀市の施行から4年が経過した令和4年に、奈良県内では条例を制定する市町が急速に増えました。その前年には、奈良県生駒郡平群町のメガソーラー計画を巡り、住民が建設差し止めを求め提訴し、当時の荒井知事が工事の一時停止を指示するなど、太陽光発電設備に対する規制を求める声が強まりました。

住民同意と町長の許可が必要

令和4年7月1日施行の平群町条例は、事業区域が1,000㎡以上または発電出力が50kw以上の場合は、町長の許可を受けなければなりません。

砂防区域、保安林、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、急傾斜地崩壊危険区域では太陽光発電設備を設置できません。宅地造成工事規制区域、土砂災害警戒区域、景観保全地区などは、事業の実施に配慮が必要な抑制区域です。

事業主は、平群町と事前協議をし、住民に対して説明会を開催しなければなりません。

許可の基準は①住民の同意を得ている②災害の防止や環境保全に必要な措置を講じている――ことです。同意を得なければならない住民の範囲は、事業区域が10,000平方㍍未満及び発電出力が500kw未満の場合は、事業区域が所在する自治会です。それ以上場合は、隣接自治会の同意も必要です。

このほか、発電設備に異常が発生したときは、周辺住民に周知し、町長にの報告することを求めています。

県条例は令和5年に

なお、奈良県は、令和5年10月1日に「奈良県太陽光発電施設の設置及び維持管理等に関する条例」を施行しています。

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